良い人材が辞めない会社の作り方㊲信頼関係編
良い人材が辞めない会社になるためには、7つのポイントがあります。その一つが信頼関係です。
会社が成長し、良い人材が長期的に働き続けるためには、信頼関係の構築が欠かせません。特に、上司と部下の間に強い信頼があることは、社員のモチベーションを高め、離職率を低く保つために非常に重要です。そのためには、定期的な1 on 1ミーティングが効果的です。この1 on 1の場では、部下が上司に対して疑問や不満、または新しい提案などを率直に話すことができる、貴重なコミュニケーションの機会を提供します。しかし、ただ面談を行うだけでは信頼関係は築けません。その後の対応が非常に重要です。
あなたの会社では、社員が1 on 1ミーティングで提起した疑問や不満、または提案に対して、どのような対応をしていますか?社員が勇気を出して自分の意見や感情を表に出すというのは、非常に価値のあることです。しかし、その声に対して適切な対応を取らない場合、信頼関係は簡単に崩れてしまいます。もし、社員が感じた疑問や不満、もしくは提案を無視してしまったり、うやむやにしてしまうと、社員は「自分の意見は聞かれていない」と感じ、次第に会社や上司に対する信頼感が失われます。
面談を行うこと自体は、社員との信頼関係を築く第一歩ですが、その後に具体的なアクションを取らなければ、逆効果になることもあります。社員が感じている不満や疑問に対して誠実に向き合い、上司がそのフィードバックに対して何らかの対応を示すことが必要です。もし、面談後に何のアクションも取られなかったり、フィードバックが無視された場合、社員は「話すだけ無駄だ」と感じてしまい、次回の面談で率直に話すことをためらうようになるかもしれません。つまり、フィードバックの対応の遅れや不在は、信頼関係を一気に損なうリスクがあるのです。
さらに悪いことに、社員が率直な意見を出したにもかかわらず、その声に対して上司から何の反応もない場合、社員は次第に上司や会社そのものに対して冷淡な態度を取るようになるかもしれません。それが結果的にモチベーションの低下や、最終的には離職へとつながる可能性も否定できません。ですから、もし上司や経営層が社員の声を真摯に受け止め、適切なフィードバックを行えないのであれば、最初から社員の声を聞かないほうがまだマシかもしれません。
一方で、社員の不満や提案が必ずしも実現可能なものであるとは限りません。例えば、提案が会社の経営方針にそぐわなかったり、社員の要求が無理なものである場合、必ずしもその提案に従う必要はありません。しかし、そのような場合でも、社員が納得できるようにしっかりと**「対応しない理由」を説明することが重要です。理由を明確に伝えれば、社員は自分の意見が無視されたのではなく、きちんと検討された上で対応が難しいことを理解することができます。これは、会社が社員の意見を真摯に受け止めている証拠**であり、信頼関係の維持に大きく貢献します。
例えば、ある社員が新しいプロジェクトの提案をしたとします。しかし、その提案が会社の戦略にそぐわなかったり、現実的にリソースの不足などで対応できない場合があります。この時、上司はただ「無理だ」と言うのではなく、なぜその提案が現時点では実現不可能なのか、具体的な理由を説明しましょう。例えば、現在のリソース配分や他の優先事項について説明し、適切にフィードバックを与えることで、社員も「自分の意見が軽視されたわけではない」と理解し、会社への信頼を保つことができます。
最終的には、フィードバックの質と対応の適切さが信頼関係を築く上で大きな役割を果たします。信頼関係を強化し、社員が安心して働ける環境を整えるためには、1 on 1ミーティングを通じて社員の声をしっかりと受け止め、それに対して真摯な対応を行うことが不可欠です。これにより、社員は「自分の意見が会社にとって重要である」と感じ、モチベーションも向上します。社員との信頼関係を強化するためには、フィードバックと対応の適切なバランスを保つことが大切です。